MIS通信10号[2026年7月]
新たな地域医療構想の策定ガイドライン(その1)
医療機関機能報告を柱とする新構想
7月3日、厚生労働省は2025年を目標年としていた従来の地域医療構想のバージョンアップ版とも言える新たな地域医療構想の策定ガイドライン(以下、新構想策定GL)を公表しました。
新構想策定GLは、85歳以上の高齢者の増加や人口減少が更に進む2040年とその先を見据えた医療提供体制を検討するためのもので、「2040年頃の医療需要を見据えつつ、医療機関の役割分担や連携のあり方を整理し、地域全体として適切な医療提供体制の構築」が目的です。
新構想の柱の一つが医療機関ごとの機能の明確化です。従来の地域医療構想では、病棟・治療室ごとの病床機能報告が柱でしたが、新構想では医療機関単位での役割の明確化が求められるため、概要を解説します。
各医療機関は、「高齢者救急・地域急性期機能」、「急性期拠点機能」、「在宅医療等連携機能」、「専門等機能」の4つの機能から、自らが選んだ機能を都道府県に報告します。大学病院本院は、上記4つの機能とは別に「医育及び広域診療機能」として、広域な観点で常勤医師や代診医の派遣、医師の卒前・卒後教育をはじめとする医療従事者の育成、広域な観点が必要とされる診療を総合的に担うことが求められる仕組みです。
2028年度までに医療機関機能等の報告
昨年12月12日に公布された「医療法等の一部を改正する法律」では、新たな地域医療構想を2028年度までに策定することになっています。
2026年度から2027年度上半期頃までに、医療需要の見通しや医療提供体制の現状等を客観的なデータに基づき分析するとともに、地域医療構想調整会議において、データに基づいた議論と課題の整理、構想区域の点検・見直しを行い、2028年度までに急性期拠点機能も含め、2040年において各医療機関が担う医療機関機能、必要病床数、入院医療・外来医療・在宅医療・介護との連携・人材確保に関するそれぞれの取組を協議し、地域医療構想として策定する必要があります。(図表1参照)
なお、2028年度以降に、医療機関の取り組み状況や地域の医療需要の変化等を踏まえて、医療機関機能の見直しが行われることも想定されるため、必要に応じて調整会議において報告内容等の確認が求められます。
>>地域医療構想策定ガイドライン(厚生労働省医政局)の全文81ページは↓
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001718620.pdf

4つの医療機関機能
医療機関機能として求められる機能や体制は以下のとおりです。
<高齢者救急・地域急性期機能>
(高齢者救急・地域急性期に関する診療機能)
⚫高齢者に多い疾患の受入、入院早期からのリハビリテーションの提供、時間外緊急手術等を要さないような救急への対応、高齢者施設等との平時からの協力体制
<急性期拠点機能>
(急性期の総合的な診療機能)
⚫救急医療の提供、手術等の医療資源を多く要する診療の、幅広い総合的な提供
(急性期の提供等にあたっての体制について)
⚫総合的な診療体制を維持するために必要な医師数、病床稼働率、急性期医療の提供や医師等の人材育成を行うための施設
<在宅医療等連携機能>
(在宅医療・訪問看護の提供)
⚫在宅医療の提供の少ない地域において、在宅医療の提供、訪問看護STを有する等による訪問看護の提供
(地域との連携機能)
⚫地域の訪問看護ステーション等の支援、高齢者施設の入所者や地域の診療所等で在宅医療を受けている患者等の緊急時の患者の受入れ体制の確保等、平時からの協力体制
<専門等機能>
⚫特定の診療科に特化した手術等を提供、有床診療所の担う地域に根ざした診療機能、集中的な回復期リハビリテーション、高齢者等の中長期にわたる入院医療機能
※2025年8月8日「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」資料から抜粋
複数の医療機関機能の報告
新構想策定GLでは、①在宅医療を担う場合であっても、救急車の受入も多い医療機関があるため、高齢者救急・地域急性期機能と在宅医療等連携機能の複数機能の報告はOK、②高齢者救急・地域急性期機能や急性期拠点機能と在宅医療等連携機能の複数機能の報告もOK、③高齢者救急・地域急性期機能と急性期拠点機能は、医療資源を多く要する医療や高齢者救急の役割分担を明確化するため、両機能を一つの医療機関が報告することはNGとしています(図表2参照)。
急性期拠点機能に関する具体的な機能等として、消化器外科、整形外科、循環器内科、脳神経外科等を中心に、頻度が高く、救急対応や手術・処置等を要する疾患に対応ができる総合性の確保と政策医療の実施が求められる一方で、総合的な急性期医療の提供を維持できる範囲でダウンサイズを行うことが求められています。
今後、ボリュームゾーンになっていく高齢者救急・地域急性期機能として、「急性期拠点機能と連携しながら、地域での協議に積極的に関与し、搬送先の選定や下り搬送、上り搬送を含めた受け入れ後の連携のあり方」、「高齢患者の早期退院に向けて、訪問看護、訪問リハビリ、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導、訪問栄養食事指導等の切れ目ない提供に向けて退院前から関係者間の多職種による調整機能」を求めています。
また、在宅医療等連携機能として、24時間の提供体制確保に当たり、在宅医療を担う他医療機関、訪問看護ステーション、歯科医療機関、薬局、介護サービス事業所、高齢者施設等との連携ネットワーク体制を求めています。

人口減に加えて、2035年以降の85歳以上要介護高齢者増を考えると、入院だけでなく外来や在宅、介護との連携を含めた地域全体の医療介護の提供体制の再構築が望まれます。この新構想策定GLはそれらに向けた第一歩となるルールブックという位置付けとも言えるのではないでしょうか。
<参考>高額療養費制度の見直し
前号紹介の「健康保険法等の一部を改正する法律」の本文において、下記のように次回掲載を予告していましたが、
MISパートナー通信(VOL.09[2026年6月]から抜粋)
制度を持続的に安定させる観点から、家計への影響や医療費の額を考慮しつつ、月額上限の引き上げなどの支給要件等の見直し、年間の負担上限額の設定などについての段階的な見直しが実施されます(詳細は次回に掲載)
この度、厚生労働省医政局から2040年の医療提供体制構築に向けたロードマップの軸とも言える「地域医療構想策定ガイドライン」が示されたため、急遽内容の変更を行いました。その関係で、高額療養費制度の見直しを本ページでご紹介いたします。
高額療養費制度の見直しは、今年と来年の8月1日の2段階施行の予定です。この高額療養費制度の見直しは、昨年1月召集の通常国会に改正案が提出されたものの、難病患者等から反対意見が多く示された結果、実施が凍結となりました。その後、法案の修正が行われ、新たに年額上限制度の導入や低所得者への配慮がなされることとなりました。
自己負担限度額は、被保険者の所得に応じて設定される仕組みですが、今年8月から月単位の自己負担上限の見直しと年単位の上限額設定が新設されます。
さらに来年8月からは年収の所得区分を細分化して、各区分の中で、所得の高い被保険者ほど限度額が高くなる仕組みに改められます。例えば、2027年7月までは、約370万円~約770万円は一つの区分ですが、2027年8月からは、約370万円~約510万円、約510万円~約650万円、約650万円~約770万円に上位区分の月額上限額が引き上げられます。(図表3参照)
(注)26年7月3日時点の情報をもとに作成したものです。今後、変更の可能性があることを予めご了承願います。
※今月は「地域医療構想策定ガイドライン」が示されたため、予定していた内容を一部変更して医療機関機能を中心に解説しました。次回も地域医療構想策定ガイドラインを解説予定です。
MIS通信は、MISネットワークの地域パートナーとしてご賛同いただいている以下の大手医療機器卸販売会社の営業マンより医療施設へ配布しています。
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| 北海道 | 株式会社竹山 | 011-611-0100 |
| 北東北 | 共立医科器械株式会社 | 019-623-1205 |
| 株式会社秋田医科器械店 | 018-839-3551 | |
| 南東北 | 株式会社シバタインテック | 022-236-2311 |
| サンセイ医機株式会社 | 024-944-1127 | |
| 北関東 | 株式会社栗原医療器械店 | 0276-37-8586 |
| 南関東 | 株式会社MMコーポレーション | 03-3816-1335 |
| 甲信越 | マコト医科精機株式会社 | 055-273-0333 |
| 株式会社上條器械店 | 0263-58-1711 | |
| クロスウィルメディカル株式会社 | 025-229-7766 | |
| 北陸 | 冨木医療器株式会社 | 076-237-5555 |
| 株式会社ミタス | 0776-24-0500 | |
| 東海 | 株式会社名古屋医理科商会 | 052-723-5400 |
| 株式会社八神製作所 | 052-251-6671 | |
| 関西 | 株式会社三笑堂 | 075-681-5131 |
| 宮野医療器株式会社 | 078-302-7055 | |
| 中国 | ティーエスアルフレッサ株式会社 | 082-501-0316 |
| 西日本メディカルリンク株式会社 | 086-241-0231 | |
| 四国 | 四国医療器株式会社 | 087-851-3318 |
| 日新器械株式会社 | 088-641-5111 | |
| 九州 | アイティーアイ株式会社 | 092-472-1881 |
| 山下医科器械株式会社 | 092-402-2960 |


